体育理論の授業

 

は じ め に

 

●『体育理論』の授業は、兵庫県立神戸甲北高校:総合学科において、1999年度より23年次で選択できる保

  健体育の科目として開講された。 単位は2単位(週2時間)。

  当初の選択生徒はほとんどが運動部所属の者で、進路として体育系(教員、スポーツインストラクター)

 を考えている者、理学療法士を目指す者、単にスポーツ・運動等に興味のある者などで、おおよそ20名程度

 の選択者ではじまった。以後概ね20名前後で推移した。 

・神戸甲北高校:総合学科は全国の総合学科のパイオニア的存在であり、普通科から総合学科への編成替えに

 あたっては当時の先生方の苦労は並大抵のものではなかった。

・体育科も、「運動障害救急法」「野外活動」そして「体育理論」の3講座をほぼ同時に 開講し、「体育理 

 論」は私が担当することとなった。(以後 他校へ異動するまでの数年間を担当した。)

 

●当初、公立高校で週2時間の「体育理論」の授業をこなしている学校はなく、また年間70時間を満足させるような参考となるべきテキストや関連著書も少なく(現在では充実した内容の著書:例えば、「教室でする体育」小学校編/中学校編*出原泰明編:創文企画----等も出版されている)、また転勤早々でいきなりの担当となったこともあって、具体的な年間構想や教材の精選もないまま授業に突入していったため、かなりのプレッシャーとストレス状態を抱えてのスタートであった。

 

●教室での単なる理論学習だけでは共倒れになりそうだったため、「理論と実践」と題して実技を加えた学習活動へと変化させたりもした。自転車操業ながらも、これまでの保健体育の授業とは切り口を変えた理論編及び実技編として工夫せざるを得なかった。

 

しかし教師側にそれほどの知識も力量もなく、前掲した「教室でする体育」にみられるような、体育・スポーツを通して社会の流れや仕組みを考えさせる授業には程遠く、ここで紹介していく教材も受け売りの薄っぺらなものである。

 

●これまでと違ったシステムが導入されると、戸惑いはあっても、停滞は許されない。そして必ずその成果報告が義務付けられる。内容不十分ながら研修会で発表という形となる。県の体育研究会での授業報告という形で発表はしたが、ここでは内容的に時代遅れとなったものもあり、全てを掲載することは控えたい。

 

●高校の体育現場ではメインの体育の授業以外に、選択できる体育授業講座を設置するところが増えてきた。「スポーツ概論」「演習体育」「生涯体育」「スポーツA」などの名称をつけている。また「総合的な学習(⇒探求)時間」の使い方にも諸々工夫しているようである。

 

 上記授業への参考になりうるなら幸いです。