ラグビー授業:第9限~第12限


第9限目

 

第9限目

  8 限目(攻撃のパターン練習)の復習

・ハンドリングのみ(キックなし)の実戦ゲーム

 

・今回からいよいよゲームへ入っていくため、前回第8限目で準備したようなコートを事前に描いておく

 必要がある。

 

 1)集合、点呼、準備運動----------------------10分)

  ・全員にヘッドキャップをつけさせる。

  ・ウォーミングアップにおいて、転倒時の回転感覚を得る為地面上で前転を2回ほどさせる。

  ・2人組で、1~2mの距離から腰部にタックルに入る練習も互いに3~4回実施しておく。

  (これまで、あまりディフェンスとしてのタックル練習はしてきていない。タックルがあまり上手く

   なりすぎると転倒数も増すので、基本の入り方(第4度目の内容)についてのみ確認しておく。)

  2)攻撃パターンの復習練習----------------10分)

  ・第8限目に行なった、敵なしコンビネーションA・Bパターン(往復)を復習練習する。

  ・チームポジションは、今回はAポジションのみで実施させる。

  ・前回実施した反省に基づき、どこを強化するのかを確認させながら実施させる。

  ・先のチームがスタートしたら、次のチームの準備を早めにセットさせ、適度な間を置いてパターン

   練習をスタートさせる。

  ・指導者のホイッスルでチームのスタートをコントロールするのがよいであろう。パターンを完全に

   忘れている者もいるので、チームによって、スピードや、正確さにバラつきが出てくるため、先の

   チームが遅いと、後のチームが追いついてしまうケースもでてくる。このころになると、チームと

   しての意識もでてきて、他チームが追いついてきても、生徒たちは接触しないよう、声を出しなが

   らうまく捌いてくれる。

  ・指導者も大声を出しながら、「次はモール!」「次はパントキック!」などと指示を出す必要に迫

   られる。(パターンを覚えるまで、私の場合は拡声器を持って、走り回っている。)

  ・Aポジションのみで、往き帰りのパターンを2往復ほど、全力で実施させる。

 

 3)ハンドリングのみ(キックなし)の実戦ゲーム(2030分)

  ・ゲームに入る際、考慮しなければ行けないことは、その講座におけるチーム数、コートの広さ、コ

   ートの数、ジャッジできる者の数などの条件である。

  ・人数が多い講座で、例えば4チームあり、コート1面、ジャッジも教員しかできないとなれば、ゲー

   ムができるのは2チームで、後の2チームはゲーム見学か、コートサイドで自主練習をさせるしか

   ない。冬の寒い時期にゲーム見学となると厳しいので、空いた地域でミニサッカーをさせていたケー

   スもあった。2面のコートが取れて、生徒の中にラグビー部員などのジャッジできる者がいるなどの

   好条件はまず望めなく、チーム数やチーム人数の設定については授業開始前から悩む問題である。

  ・ゲーム第1回目となる本時は各チームAポジションで実施する。

  ・チーム数により、ゲーム時間の配分に配慮してすすめる必要がある。

 

 ●今回の「授業ルール」の確認

  ①ゲーム開始はジャンケンで勝ったチームのセンタースクラムから開始する。

  (チーム人数が少なく、センターにスクラムを組むと両サイドにバックスが広がり、空間が空きすぎ

   る場合は、中央より左右どちらかにスクラムの位置を移動して開始させる。)

  ②ゲーム中のキックはなしとする。すべてハンドリングでボールを運ぶこととする。

   ・誤ってキックしてしまった場合は、その地点で相手ボールスクラムとする。

   ・トライが成功した後のゴールキック(コンバージョンキック)も初期段階では採用しない。得点

    はトライのみを有効とする。

    (学校によってはラグビー用のゴールポストがない場合もある。)

  ③ノックオン、スローフォワードなどの軽反則については、その地点で相手ボールスクラム。

  ④オフサイドの反則、危険なタックル、ノットリリースボールなどペナルティキック(PK)になっ

     た場合、全てその地点から、反則をおかしたチームは10m後退し、PKを得たチームはチョン蹴り

     ゲームを再開する。ラック状況になり(初級レベルの授業では、生徒はうまくラックを作れない)、

    手でボールを動かした場合は反則となり、同様にチョン蹴りで再開する。

  ⑤モール状態でボールが出なくなった場合は、その地点で、ボールを支配している方か、もしくはモー

   ルを押し勝っている方のスクラムとする。

  ⑥タッチになった場合は、ラインアウトで再開するが、クイックスローは採用しない。また故意にタ

   ッチラインを切ることはできない。(その場合はPK=タッチラインから5mは入ったところから

   チョン蹴りで再開する。)

  ⑦タックルに来る相手に対してハンドオフ(片手ではたく動作)は認めない。(=PK(チョン蹴り

   から開始とする。)等について、一応の確認を行う。

 

 

  ※ラグビーのルールは、なかなか膨大であり、ここで全てを載せるわけにはいかない。(ラグビーの

   ルール集にしても、インターネットにおいてルールを検索しても、膨大な量が出現する。)授業に

   取り組む前に、一度全体に目を通しておく必要があろう。特にオフサイドのルールについては十分

   な理解が必要である。またルールは何年か毎に結構変化している為注意が必要である。(自分自身

   もまだ全てを理解できていない。)

    ※全てのルールを細かく全面採用すれば初心者のゲームの流れはなくなり、面白味もなくなるので、

   どのルールを採用し、追加していくかは、生徒の技術レベルの段階によっても違ってくる。

   ※ここでのラグビー授業の目的は、「モールを活用した、2次攻撃展開ができる」ことを主目的とし、

   自分のポジション・役割を理解しながら、チームとしての戦術展開をすることで、ラグビーの楽し

   さを体感することである。

  ※初めての本格ゲームとなるため、指導者側としては、ジャッジしながら、

 

   ①ゲームの場面場面において、しっかりホイッスルが鳴った理由と、再開の方法を、全体に明確に

    告げる。

   ②モールやスクラムの場面でのバインドの仕方・ボール確保のあり方、バックスラインの引き方や

    距離のとり方、攻撃展開のバリエーション、危険なプレー、誰がどの時点でオフサイドの反則を

    とられたか、等ついて解説や追加説明を加えながら、ゆったりとゲームを進める意識を持つ。

 

  ※集団的スポーツ(球技)における審判というのは、実際その種目を経験していないものにとっては、

   非常に難しいものである。私のように個人競技(体操競技)を専門としてきて、動的視力の鍛えら

   れていないものにとっては、特にコンタクトの多いバスケットボールやハンドボール、ラグビーな

   どのジャッジは授業のゲームといえども難しい。バスケットなどは小さい頃から経験して、目の肥

   えたクラブ部員も多いので、部員に審判を任せるなどはよくしてきたが、ラグビーの場合は、ゲー

   ムの流れを作り上げ、安全性確保のためには、どうしても教師が審判をするのが望ましい。ラグビ

   ーを初めて授業で取上げた当初は、審判の動きを勉強させてもらう為、迷惑を顧みず、恥を忍んで、

   K先生に自分の授業ゲームのジャッジを頼み、ゲーム展開中は、ずっとK先生の後をついて回って 

   ジャッジの仕方を教えていただいた。 何とか自分でラグビーの授業がしたいという意欲で、年上

   年下の先生にこだわらず、いろんな先生にアドバイスを受けまわっていた時期があった。懐かしい

   思い出でもある。

4)集合、怪我等の確認、本時の反省、整理運動など--------5分)


第10限目

 

10限目

 ・  8 限目(攻撃のパターン練習)の復習  

(各チーム2パターンのポジションでも

           動きができるように)

・ハンドリングのみ(キックなし)

         の実戦ゲーム(2回目)

 

 1)集合、点呼、準備運動------------(10)

  ・全員にヘッドキャップをつけさせる。

  ・ウォーミングアップにおいて、転倒時の回転感覚を得る為地面上で前転を2回ほどさせる。

  ・2人組で、1~2mの距離から腰部にタックルに入る練習も互いに3~4回実施しておく。

 2)攻撃パターンの復習練習-------10分) 

   ①・各チーム、ポジションAで、第8限目に実施した攻撃コンビネーションのパターンを1往復

    復習練習する。

  ②・各チーム、ポジションBで、同じく攻撃コンビネーションのパターンを2往復、復習練習する。

  ※どのチームもポジションの違いにより、動きの良し悪しが出てくるもので、チームとして

   機能しやすい配置が次第に分かってくるのであるが、いろんなポジションの動きを理解しながら

   進めるという方針については変えずに行なった。

    ただ、身長も高く体重も重い、走れる重量級の生徒をバックスに配した場合、ボールを持てば皆

   を蹴散らしながら独走し、他の生徒がタックルに入るのを怖がる、という場面が出てきて、バック

   スを生かしたゲームというより、その生徒1人のゲーム進行になってしまう状況がでてきたため、

   パターン練習では、2つのポジションで練習させるが、実際のゲームでは、全体が動ける適切なポ

   ジション配置を教員側でアドバイスして、微調整していく作業も必要となった。

 3)ハンドリングのみ(キックなし)の実戦ゲーム(2030分)

  ・ゲーム第2回目となる本時は各チームBポジションで実施する。

  ・ルール等は前回と同じとする。

 4)集合、怪我等の確認、本時の反省、整理運動など--------10分)

  ・前回と今回で、2つのポジションで実施してみて、チームとしての動きの良し悪しを観察すした

   感想を述べるとともに、各チームのA/Bのポジション配置について、微調整させる。


第11限目

 

11限目

  攻撃のパターンの復習練習

(各チーム2パターンのポジションでも

           動きができるように)

22m後方からのキックを認めての実戦ゲーム

 

1)集合、点呼、準備運動------------(10)

 ・全員にヘッドキャップをつけさせる。

  ・ウォーミングアップにおいて、転倒時の回転感覚を得る為地面上で前転を2回ほどさせる。

  ・2人組で、1~2mの距離から腰部にタックルに入る練習も互いに3~4回実施しておく。

  ・2人組で1015mの距離で向かい合った状態でのキック練習を少し入れる。

 

2)攻撃パターンの復習練習-------10分)

・各チーム、A/Bポジションで、第8限目に実施した攻撃コンビネーションのパターンをそれぞれ

 のポジションで1往復ずつ復習練習する 

3)22m後方からのキックを認めての実戦ゲーム(2030分);Aポジションで実施

  ●ルールの追加確認(これまでのルールに下記4点を追加し、確認する。)

  ①試合開始をキックオフから開始する----------------------------------------(罰則:授業での処理

 (キッカー側)

    ・キックされたボールは10mラインを越すこと(ゴロでも可)--やり直し(とする)

      ・キックするまでボールの後方にいること-----------------------------------中央スクラム

 ・直接タッチに出た場合------------------------------------------------------中央スクラム(とする)

 (防御側)

    ・キックされるまで10ライン後方に位置していること--------------やり直 

  ②22mライン後方(内側)からのキックを許す。(22mラインを引いておく必用あり)

  *正式ルール(2010年現在)では

   a:自陣22mライン以内(ゴール寄り)で、直接(ダイレクトで)タッチに蹴りだした場合---

                   -----------ボールがタッチラインを出た地点で相手ボールのラインアウト

   b:自陣22mライン外側(中央寄り)で、直接(ダイレクトで)タッチに蹴りだした場合

   c:自陣22mライン外側にいる人からパスを受けて、直接タッチに蹴りだした場合

   d:自陣22mライン外側でボールを取った後、自陣22ライン内側に戻って直接タッチに蹴りだした

      場合bcd-------------蹴った地点からゴールラインに平行地点で相手ボールのラインアウト

   e:22mラインの内外を問わず)

         ボールが一旦クランド内で落ちて(バウンドして)外に出た場合

         ----------------------------全てタッチラインを出た地点で相手ボールのラインアウ 

   f:PKをもらってボールを蹴りだした場合

                 -----------全て(直接でも、転がっても)

            ボールがタッチラインを出た地点でPKをした側のボールでラインアウト

 ※22mライン内外でのキックに関するルールは上記内容となっているが、授業では、キックの精度を

  上げる練習をしていないこともあり、bcdの場合についても、「ボールがタッチラインを出た地

   点で相手ボールのラインアウト」にするなど、授業ルールを採用してもよいと思う。

  

 ③キックオフサイドについて理解する。

 a:キックをした選手の前の位置にいる選手はオフサイドでプレーできない。キッカーかキッカーの

   後ろから走ってきた選手に追い越されてから(オンサイドになってから)前に動くことができ、

   それまでは前に走り出してはいけない。

 b:キックされたボールの落下地点から10m以内にいるキックした側の選手はそこから退かなくては

   いけない。

  ・a、bの場合はPKであるが、授業では全て相手側を10m下がらしてからのチョン蹴りとした。

  ・「22mライン内側からだけのキックを許す」という授業ルールのなかでは、敵にキックを返される

   ケースというのは、ほとんど発生しない。

 

 ④ドロップアウト、キャリーバックについて理解する

 (このルールについては、第9限目のゲームを始める段階で理解させておかねばならない部分でもある

  が、それまではノーキックでの実施であったため、ドロップキック等についても理解しながらすすめる。)

 a:攻撃側が、ボールを相手インゴールに持ち込んだが、

・防御側がボールを自陣インゴールにボールを押さえ込んだ場合

・ボールがタッチインゴールまたはデッドボールラインを越えた場合

   -------------------------ドロップアウトにより競技再開となる 

            (ドロップアウト:22ライン後方から防御側の行うドロップキック)

 b:防御側が、自陣インゴールにボールを持ち込み

   ・防御側がボールを自陣インゴールにボールを押さえ込んだ場合

 ・ボールがタッチインゴールまたはデッドボールラインを越えた場合 

--------------------------相手チームボールで、ゴールラインから5mの地点でスクラムとなる

 

 ※以前にも述べたが、ラグビーのルールについては、細かい変化が頻繁に行われる為、注意して

おく必要があり、場面場面における取り決めや裁定の仕方も非常に詳細である。

しかし授業においては、あまり正式ルールにとらわれることなく、生徒の能力に応じた授業ル

ールを採用してゲーム進行するのがよいと感じる。

 

4)集合、怪我等の確認、本時の反省、整理運動など--------(5分)


第12限目

 

12限目

・動きの評価(テスト)

スピードに乗せた攻撃パターン

(コンビネーション)の動きと理解、

予期せぬ事態への即座の対応からの立て直し

22m後方からのキックを

         認めての実戦ゲーム(2回目)

1)集合、点呼、準備運動------------(10)

・全員にヘッドキャップをつけさせる

 ・ウォーミングアップにおいて、転倒時の回転感覚を得る為地面上で前転を2回ほどさせる。 

 ・2人組で、1~2mの距離から腰部にタックルに入る練習も互いに3~4回実施しておく。

 ・2人組で1015mの距離で向かい合った状態でのキック練習を少し入れる。 

2)ウォーミングアップとしての攻撃パターンの復習練習-------10分)

  ・各チーム、A/Bポジションで、第8限目に実施した攻撃コンビネーションのパターンをそれ

 ぞれのポジションで1往復ずつ復習練習する。

3)動きの評価(テスト)(10分) 

 ・これまで練習してきた、敵をつけずに行なう攻撃パターンの出来ばえを評価する作業である。 

 ・教師側からすれば、これまでの練習の過程やゲームを通して、チーム力や個人の技術レベル、

  理解力などを、ほぼ把握できているとは思うが、一つのけじめとしての動きのテストを実施す

  るわけである。

 ・テストとなると、「チームとして絶対失敗するな」という意思疎通がなされ、生徒は少しの緊

  張感を持って臨んでくる。

 ・完成されたチームになってくると、そのスピード感、パスや、モール作りの正確性が現れ、なか

  なか失敗もなく、評価も難しくなるが、以下のような手順で実施した。

 

  ①授業前に下記のような評価票(例=10人チームの場合)を準備する。

  ・各生徒にゼッケンをつけさせ、背番号登録をさせる。

   1回目はAポジションで2回目はBポジションで、攻撃パターンを実施する。

  ③下記票に、動きが遅いもの、動きを理解していないもの、パスあるいはキャッチの正確性に欠

     けるもの、などマイナス要素が目立つものについては内容欄にチェック✔を入れる。反対に、

     動きが早く、指示の声も通り、動きを理解し、パスやキャッチの精度の高いもののついては内

     容欄にマル印(◎/○)などを入れる。

   ④最終的に評価欄に総合評価のマーク等を記入し、最終評価の資料とする。例えば

   A(レベル上)/B〇(中上)/B(普通)/B↓(中下)/C(下)

   などを予め決めておいて、最終的には点数化して評価の資料とする。

   もちろん評価はこれだけではなく、ゲームでの動き評価、授業態度や、意欲度、理解度などが

   加味される。

 

ラグビーテスト チェック票      年   組    班

ポジション   SH⑥           ゼッケンの色(      )

          FW①②③

              ④⑤

              BK⑦  ⑧  ⑨  ⑩

   Aポジション

   Bポジション

 

 

 

  内   容

 

 

 

 

 

  内   容

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4)22m後方からのキックを認めての実戦ゲーム(15分:テストに要した時間による) 

                            (Bポジションで実施)

 ・前回のゲームの反省に基づきゲームを組み立てさせる。

5)集合、怪我等の確認、本時の反省、整理運動など--------(5分)