●マット運動の授業:10限(演技会)

+付記(男子向き規定演技 )


第10限目

 

10

会(テスト)

・いよいよ演技会である。教師側は評価の作業もしなければならない。

・この規定演技は、個人差はあるが、初めから終わりまでの演技部分だけの実施で約30秒かかる。採点

  の時間や呼び出してからの出入りの時間などを入れると、1人当たり約1分はかかる。 

・当日の授業の前半で、約710分間の準備運動、マットを使っての一連の流れの総復習に約10分、

 演技会の説明(採点の方法など)に約5分かかるとして、50分授業では残り時間は2025分である。 

・つまり、1人ずつ演技すれば、1時限で20人の演技可能ということになる。選択授業などで講座の人数

 がなければそれでよいが、40人の生徒がいる場合は、2人同時に演技をさせ採点するという方式をとる。

 これが、生徒が各自創った自由演技ならば、同時に2人を採点することは無理だが、規定演技なので

 師による同時採点は可能である。

・演技をしていない生徒も全て審判(採点)にあたらせる。先生だけが採点していて、横の方で生徒が

 練習しているとか、演技を終えた生徒が横で他の種目をしていたり、遊んでいたり----という形式は避

 ける。演技会という場の設定で、全体が自分に注目しているという緊張感を味わい、採点に当たる生徒

 は演技者がどういう表現をしていくかを観察し、比較評価していく難しさを体験する。 

・生徒数が40名程いて(例えば、A組20名+B組20名)で2人同時採点が必要な場合、教師は2人同時に採点するが、生徒の方は自分のクラス演技者だけを採点させればよい。

 (51)のような態勢で行えばよいと思う。

・採点するといっても、自分で、独断で採点するだけ

 であり、競技形式で各々の得点を示すわけではない。

 自分で評価基準を設け、一人ずつの演技を点数化し

 ていくのである。演技の残像を比較しつつ、評価を

 点数化することのむずかしさを経験するのである。

※下記の文は体操競技の競技開始前に行われる審判会議で、会議の最後に審判員全員で宣誓する『審判員宣誓』文である。こういう文章も生徒に紹介する場面もあってよいと思い、参考までに上げておきます。

 

 

 

 《 私たちは、審判員として自己の名誉にかけて、スポーツにおける公正の精神と

     スポーツの尊厳のみを念頭におき、人物や所属を考慮することなく、行われた

          演技そのものに対して 良心的に採点することをここに宣誓いたします。  》 

 採 点 

 ・下部に生徒用に配布した「採点票」のモデルを掲載した。

・前時に抽選決定した演技順に生徒の名前を入れて、演技会を始める前に配布する。

・本来、規定演技の採点は、きっちりした採点基準を設けて、減点法で採点していくべきだが、授業で

 は全体のイメージから全く主観的に採点する方法にした。これまでの授業で、生徒の技術レベルはお

 おむね把握できているとは思うが、その中で、中位の演技だと思われるものを 7.0 として採点し、

 後の4.010.0の各基準を大雑把な基準ではあるが下記のように表現した。

・採点時の注意ポイントとして、

  ①第1演技者の採点が、後の全ての基準となるので、冷静な判断を下すこと。

  ②とにかく演技をすれば最低4.0は得点されるので、それ以下の採点はなしとする。 

  ③採点は0.5刻みでつけること。8.07.0の間は7.5として採点する。

  ④採点は演技内容をよく見て、差をつけた採点をすること。(一律7.0ではダメ)

  ⑤採点票の自分の欄には/(斜線)を入れておくこと。

 ・教師側の採点基準としては、もっと細かい、厳しいものであっても良いと思うが、同じ採点基準で

  採点してみて、どのようになるかを比較してみるのもよい。


マット運動 採点表 【審判員   年   組   番 (            )】 
             
●審判員 宣誓          
  私たちは審判員として、自己の名誉にかけて、スポーツにおける公正の精神とスポーツの
  尊厳のみを念頭におき、人物や所属を考慮することなく、行われた演技そのものに対して、
  良心的に採点することをここに宣誓いたします。
   
   サンプル
10 ・技の正確さ、美しさ、ムード、スケールの大きさにおいて完璧である。
9 ・2ケ所程度のぐらつきはあったが、すぐれた出来ばえであった。
8 ・正確さに欠ける部分があるが、まずまずまとまっている(全体的スケールは大きいとはいえない
7 並みの演技。一応流れてはいるが、良いとも悪いともいえない。
6 ・1~2ヶ所良い技もあるが、全体の流れはいまひとつ。(考えながらやっている。)
5 正確さもなく、ムードもない。一応やったというだけ。
4 ・すべての技に見るべきところなく、演技忘れ、ぐらつき、転倒、キメの甘さが目立つ。
             
★採点のポイント   演技順 名前 1回目 2回目
 ①第1演技者がの採点が、あとの全て   1      
 の基準になるので、冷静な判断をする。   2      
      3      
 ②演技すれば4.0はある。それ以下の点   4      
   はない。(最低点4.0)   5      
      6      
 ③採点は0.5きざみでつける。 8.0 と 7.0   7      
   の間は7.5として採点する。   8      
      9      
 ④採点は演技内容をよくみて、差をつけ   10      
   た採点をすること。   11      
      12      
 ⑤採点表の自分の欄には/(斜線)を入   13      
   れておくこと。   14      
      15      
      16      
     年   17      
      18      
   A                   B   19      
      20      
             
             

 


 1)グループ毎にマットのセッティング(いつも通りに敷く)(2分)

(2)整列、点呼、準備運動、ストレッチ(78分)------補強運動は省く

(3)導入練習=なし

(4) 本 練 習 1015分)

  ①ウォームアップ運動(2) 

  ②規定演技 前半の流れ(2セット)

  ③規定演技 中盤の流れ(2セット)

  ④規定演技 後半の流れ(2セット)

  ⑤フリー練習(時間が許せばフリーな時間を与えても良いが、全く練習しない生徒も出てくるので

      、注意を要す。)

(5)演技会用にマットの敷き直し

  ・(51)のような会場セッティング。マットの長さは最低ロングマット2枚分(12m)は確保したい。

       さらにショートマット1枚を加えて全長15m確保できれば最高である。

  ・また安全面からさらにその上にマットを重ね、2枚重ねでセットできれば完璧である。

(6)演技要領と採点要領についての説明

  ・集合させ、採点票の配布をおこない、要領について説明する。

(7) 演 技 会 (2025)

  ●演技会における留意事項

  ・できるだけ演技会場(発表の場)という緊張感のある場を設定すること。

  ・演技者は名前を呼ばれたら片手を上げて、「ハイッ」と返事をしてから演技に入る。

  ・演技者は演技に集中し、採点者は採点基準をよく頭に入れて演技の流れを見ること。

  ・演技の流れを忘れて、途中ストップした場合は、そこから続行できるよう教師側からアドバイス

      を入れる。ただし流れが止まったということで、減点対象とする。

  ・原則として演技の補助はしないこととするが、補助の必要な場合は申し出るか、危険と思える技

           (例えば、倒立前転など)には、補助をつけても良いこととする。その場合 これまでの練習段階

       で補助についていた者が入るようにするのがよい。

   (演技種目の中に、前方倒立回転、前方宙返りなどの着地の不安定感のある技が入っている場合は、

      演技会といえども、セーフティマットを活用したり、マットの敷き方を工夫するのがよい。)

  ・演技が終了したら演技者は採点者の方に向かって一礼する。採点する者は演技の出来栄えに関わら

      ず拍手を送る。

  ・採点は演技の全体像をすばやく頭の中でリプレイさせて、すばやく点数化すること。

  以上の点に留意して演技会を進めていく。

(8)採点票の回収、反省(35分) 

(9)マットの片付け、整理運動(35)

 

 教師の採点と生徒の採点に大きな差がでるか?

*次の表は実際の授業での演技会で採点した得点表である。 

*左側が生徒の採点した得点の平均値であり、右側が私の採点した点数である。

*女子の授業と男子の授業の両方の採点値を上げておくので参考にしていただきたい。

*私が高い評価を出しても、生徒はそんなに高くはなかったり、その逆もあるが、総体に極端に大き

 な差が生じているとは思えない。(あくまで私見ではあるが、女子生徒は下位者の評価には甘く、

 上位者の評価には厳しい傾向がみうけられ、評価が中位に固まる傾向があるのではと思う。) 

*採点競技というもの-----実際に数字(記録/タイムなど)として現れてこない技術的なもの(スキル)

 評価していく場合、人の見方によって差異が生じるのは当然であり、よくあることである。実際、

 体操競技における審判にしても、4人以上の審判の採点の全てが一致することは稀であって、採点値

 の差が採点規則内の範囲を越えて現れてきた場合は審判員が協議をして調整したり、また主任審判員

 から意見を求められることはしばしばあることであり、そういう作業をしながら技を見る目を安定さ

 せ、修正し、できるだけ流れに左右されないで評価する力量を発揮していかねばならない。

 *教師側はどうしても成績をつけるという作業を避けて通れないが、このマット運動での「演技会」の

  評価の出し方としては、教師側の採点を基準として、生徒の採点の平均値を参考材料として得点化し

  ていった。もちろん演技の評価とは別に、授業出席状況、参加の意欲・態度などの評価も加えられる

  ことになる。

マット運動 採点比較                    
生徒の採点は 0・5刻みで、教師側は0.1刻みで採点している。          
A)女子生徒(1年)           B)男子生徒(2年)        
・第1集団       ・第2集団     ・第3集団       ・第4集団    
演技者 生徒採点平均値 教師   採点値   演技者 生徒採点平均値 教師   採点値   演技者 生徒採点平均値 教師   採点値   演技者 生徒採点平均値 教師   採点値
7.2 7.0   8.7 9.0   1 9.9 9.0   20 6.5 6.8
6,3 5、0   8,0 7、5   2 8.2 7.5   21 7.1 8.2
8.0 9.5   5.9 4.5   3 8.4 8.2   22 6.1 6.8
7.2 6.0   6.9 7.0   4 7.6 7.0   23 6.9 7.0
6.7 5.5   8.6 8.5   5 9.1 8.5   24 8.5 9.0
7.0 6.8   5.6 4.5   6 7.4 7.5   25 6.4 6.5
6.6 6.8   7.9 8.0   7 6.8 5.5   26 7.3 8.2
6.0 6.5   5.5 6.0   8 5.2 4.8   27 8.7 8.5
8.1 8.2   7.9 8.0   9 8.8 8.5   28 7.2 8.0
6.8 6.5   6.7 7.0   10 5.6 5.5   29 6.5 6.7
8.6 9.0   7.8 8.0   11 7.1 8.0   30 6.1 6.2
7.5 7.5   5、8 4.5   12 8.0 7.5   31 8、7 9.5
7.4 7.5   7.4 7.5   13 6.4 5.8   32 7.6 7.8
7.2 6.5   5.7 5.5   14 7.1 6.5   33 6.0 6.0
8.0 8.0   8.0 8.0   15 5.8 5.0   34 6.3 7.0
6.5 6.2   6.9 6.0   16 6.3 6.0   35 7.1 7.2
8.2 8.0   6.3 6.0   17 6.4 5.0   36 6.6 7.5
8.0 7.2   4.6 4.5   18 7.5 7.5   37 4.6 5.5
7.1 6.0   8.0 9.0   19 8.6 7.5   38 5.9 5.6
7.5 7.4                        
7.9 7.5                        

 


 マット運動を終えての『生徒の反省・感想』文の一部

 女子生徒の感想 

・中学の時もやったけど、こんなに長く流れのあるマットは久しぶりだった。おもったよりうまくで

 きたかな。 

・私は体がかたいので、この授業は苦痛だった。横回りは何度やっても立てなかった。でも二段蹴り

 は楽しかったのでよかった。

・最初はうまくできたのに、だんだん下手になる技があった(伸膝後転)。でも楽しくできた。体育

 の先生はつくずく大変だと思った。 

・中学でできなかった伸膝後転ができるようになった。テストで膝が曲がったのが悔しい。倒立も長

 くできるようになり、なかなか成長した。

・中学の時より新しい技がいくつかあり、流れ全部を覚えられないだろうと思っていたが、意外に覚

 えられた。ありがとうございました。

・試験の時は緊張して思い通りできなかった。マットは難しい。 

・技がいっぱいあって覚えるのが大変だった。色んな筋が痛くなったりしたけど、楽しい授業だった。

 発表は緊張しまくった。 

・マットをやって、おかしな競技だと思った。自分は恐る恐るやっていたからぎこちなかった。

 男子生徒の感想 

・マットのおかげで体が柔らかくなった。連続技は決まればカッコ良かったが、決まらずに終わりダサ

 いと思った。

・普段あまり運動する機会のない僕でも授業についていくことができたし、先生もていねいに教えて下

 さいました。マットの授業を選択してよかったと思う。 

・想像以上にきつかった。やはりテレビで見るほど簡単でもなければ、きれいにもできなかった。何事

 も練習が肝心と身をもって体験できた。 

・思っていたよりも種目も多く、想像していたよりきつかったが、やっていて面白い部分もあった。

 ご指導ありがとうございました。 

・中学時のマットと同じだと思っていたけども、難しい技もあり楽しかった。もっと高度な技もやりた

 かった。 

・結構楽そうだと思っていたら、しんどかった。最後にやった 前方宙返りが一番楽しかったので、あ

 れをもっとやりたかった。

・難しかったので、できた時の喜びがよかった。倒立前方回転なんてできないと思ったが、やればでき

 たので、やってみるもんだなあと思った。 

・マットはもっと格好悪いことをするのかと思っていたが、なかなか面白かった。 

1日目の練習が、2日目、3日目につれてどんどん進歩していくのがとても面白かった。 

・最初はあまりうまくいかなかったが、時間がたつにつれて形になってきたので、少し感動した。もう

 少し何度の高い技に挑戦したかった。


付 記:男子向き 規定演技

 

 付

男子向き 規定演技

 ・最後に、男子生徒向きの規定演技の流れと、そこで使われている繋ぎ技、また方向転換の動きに

 ついて少し紹介したい。

 ・男子の規定演技は女子規定演技の技に加え、前方倒立回転を完成させることと、後転倒立を加え

 た構成とした。もちろん女子生徒でも前方倒立回転を目標としてもよいが、その場合演技の流れ

 の練習も含めると1316時間分の授業時数が必要と思われる。

 ・男子の場合、時間の余裕があり、またセーフティマットやロイター板などの器具の余裕があれば、

 前方宙返りや後方倒立回転(バック転)などの技を単発的に練習に組み込んだこともあるが、そう

 いう技を最終の自由演技に組み込んで構成させるところまでは進んでいない。 単発の練習ではあ

 っても、男子生徒は前宙やバック転は好んで積極的に取り組むので授業に活気はでてくる。ただし、

 生徒の能力の差が顕著に現れ出来不出来の差が大きくなること、技の失敗により大きな事故、怪我

 につながりやすいので、安全面への配慮は完璧を期さねばならない。

  

 男子向き 規定演技 の流れ --------------------------------------------------------------------

*第1シリーズ

   :助走~ ホップして側方倒立回転2回連続~ とびこみ前転~

  垂直ジャンプ伏臥支持~ 一気に180度方向転換 背面支持~

          ゆっくり腰を下ろし長座姿勢~ 反動をつけて伸膝後転

                       (両手を上げたまま立ち上がる)

 *第2シリーズ

   :片足を1歩踏み出して~ 倒立前転~ 立ち上がりながらホップして側方倒立回転~ 

     手を着かない前転~ 足を前後に開いて立ち上がりながら 足交叉とび~ 

        1歩踏み出して180度方向転換~ ゆっくり後方へ倒しながら後転倒立~ 

             足を前後に開いて断ち上がりつつ前足を後足に引きつけて 直立

*第3シリーズ

  :助走~ ホップして前方倒立回転~ 飛び込み前転~ 1回ひねりとび 着地

 

 ●上記に男子生徒向きの規定演技の流れを描いたが、これはこれまで34回程手直しをしてきての

 改良パターンである。これまで少し難しすぎたり、また優しすぎて物足りなかったりしてきたが、

 ここに示したものは中程度のパターンではないかと思う。

●女子生徒向きの規定演技に比べれば、後転倒立と前方倒立回転の二つの技が加わっている。この

 二つの技の分析、練習方法、補助の仕方等については他の解説書を参考にしていただきたいが、

 ご要望が多くあるようでしたら補筆いたします。 

●ここでは上記図のラインを引いてある部分(ア、イの部分)の捌き方について説明をしておきます。

 下記導入練習として、順を追って行えば難しいものではありません。

 導 入 練 習 

ア:垂直ジャンプ~ 伏臥支持姿勢 

 ①足裏を床につけてしゃがんだ姿勢をとる。

  その姿勢から両足をサッと後ろに引いて、足裏のある位置に両手を着いて伏臥支持姿勢をとる。

  この段階ではあくまで両足を後方に引くことを意識して、上方にとび上がってはいけない。2

  ほど行う。

 ②ほんの少しだけ上方に跳び上がって行う。ただしこの時も両足を後ろに引いて、足裏のある位置

  に両手を着くように意識しておく。少し跳び上がるだけでも手を着くときに手首に衝撃があるので、

  マット上で行うようにする。

 (これくらいなら女子生徒でもできるが、次の段階に入ると筋力のある男子でないと支えられない

  こともあるので注意を要す。)12回ほど行う。

 ③しゃがんだ姿勢~ジャンプに勢いをつけてみる。勢いのつけ方として、図のアのように腕を後ろ

  上方へ引き上げるようにするとよい。スキーのジャンパーのイメージで脇をこするように引き上

  げる。ただし、ここでもスキーのジャンパーのように前に飛び出してはいけない。そうすると顔

  面から突っ込むことになる。この時もあくまで両足を後方へ引いて、足裏の位置に両手を着くよ

  うに意識しておく。ジャンプは56割程度の勢いでまず実施する。

   マットに手を着く時には肘を横に張ってしっかりマットをとらえる。腹を意識し、腰が落ち込ま

  ないように、手と足が同時にマットに着くように行う。2回ほど行う。

 ④ ③の要領で、今度は目一杯ジャンプしてみる。ジャンプ力と腕の後方振込み(引上げ)のタイミ

  ングが合えば、身長に近い高さで体を水平に浮かすことができる。さらに水平位で体側に手を置き

  「気をつけ」の姿勢が取れれば更に見栄えのする技となる。ただし体にはかなりの衝撃があるので、

  自分の上体の筋力を確かめつつ、徐々にスケールを大きくすること。

 ⑤前転からこの技に繋げてみる。前転からつなげようとすると、これまでのことが頭から飛んで、急

  に前方へ飛び込む者が出てくるので注意を要す。足は後方へ引くという意識を忘れないようにする。

 

イ:伏臥支持姿勢~ 180度方向転換~ 背面支持 

 ①この規定演技の中では、からの継続としてがあるわけであるが、ここではまず のみを単独

  で取り上げる。

  伏臥支持姿勢をとらせる。伏臥支持姿勢から腕を軽く曲げて伸ばす時の反動を利用して(腕屈伸の

  反動で跳ねるようにして)、左手の手の位置に右手を一気に移し、その右手を軸にして、左手を大

  きく背面方向へ回して背面支持姿勢をとる。(右手、左手は逆でもよい)。いわゆるバックツイス

  トというものである。

 ②冴えを出すためには、上体の反動を使って手の位置を入れ替える瞬間に、足を床上(マット上)に

  着いたままにせず、マットから10センチほど浮かしてツイストする捌きができればなお良い。全身

  をバネ状に意識して跳ね上げることで可能になる。

 ③背面支持姿勢をとった瞬間に、大抵腰が落ちて(尻が下がって)しまい、真直ぐな美しい姿勢がと

  れないことが多いので、イのラインの右端図のように、尻の穴をグッと閉めるようにして下半身を

  締め、さらに顎を少し上げて、胸を上方に突きだすように意識して、キメのポーズをとるようにす

  るとよい。

 ④最終的には、アとイを合体させることで180度方向を変えることができるわけである。  以上。


●参考:グループノート(抜粋)